許さなくてもいい!許せない自分を許してあげよう

大人になって親元から離れ、結婚したり子どもがうまれたりして、新しい家族を持つ頃になると、一般的には育ててくれた親に感謝したり、じょじょに年老いてきた親を見て、元気なうちに恩返ししなきゃと考えるようになるものです。周りの同年代の人たちが、親を食事や旅行に連れて行ったり、好きなものをプレゼントしたりしているのを見ると、毒親育ちの人の中にはそれができない罪悪感や自己嫌悪を感じる人もいるかと思います。

でも、罪悪感を感じる必要はありません。愛情を注がれて育った人たちには、恩返ししたいと思えるだけの愛情のチャージがあるわけですから、当然と言えば当然です。反対に、愛情をもらうどころか毒親から搾取され続けて育った人には、チャージがないため、恩返しなんてしなくたって何の問題もありません。堂々と自分や新しい家族のためにエネルギーを使って生きましょう。

二次被害のところでも少し触れましたが、毒親のことを人に話したとき、「あなたにも悪いところがあるんじゃない?」とか「もういい大人なんだから歩み寄らなきゃ」とか「親に感謝できないなんて、人間ができてないね」などと言われて傷ついた経験がある人も多いかと思います。日本の社会では、大人になってからも親とうまくいかない時、子ども側を責める風潮があります。親孝行が大切という儒教の影響の名残でしょうか。

しかし、ごく普通に考えて、親と生まれたての赤ちゃんとを比べてみたら、圧倒的に親の側に力があります。成長して小学生や中学生になっても、自分で稼いで生活することはまだできないのですから、パワーバランスが親の側にあるのは同じです。子どもを生かすも殺すも親次第です。自分の意志で自活できるようになるのは、どんなに早くても10代後半くらいです。少なくとも20年弱もの年数を搾取され続けることが、子どものせいでしょうか?どう考えても違いますね。

子ども時代に子どもらしくしていられなかったのですから、大人になって急に「もう大人なんだから」と言われても、それは無理があります。少なくとも親に苦しめられていたのと同じかそれ以上の年月をチャージに使ってやっと、まともな家庭で育った人と同じラインに立てるのですから、周りとペースが違っても自分を責めないでください。

周囲の仲良し親子を見て、大人になってもいまだに親を許せない自分が辛くなったら、ちょっと考え方を変えてみてください。憎しみや怒りを抱え続けているのはしんどいものです。相手が親なら尚のことです。許せるなら誰だって許したいはずです。それでも許せないから辛いのです。「許さなければならない」と強く思うことで、ますます辛くなっていませんか?

親を許さなくたっていいのです。許せないという自分を、自分が許してあげてみてください。「一生許せないかもしれない。でも仕方ない。私はそれだけの辛い思いをしてきたんだから」と自然に思えるようになったら、だいぶ心が楽になるはずです。

このように、許せないことを肯定できると心に余裕が生まれるので、親への感情も変わっていきます。絶縁していても毒親に言われた酷い言葉がしょっちゅう頭の中に浮かんできていたのに、気が付けば親のこと自体思い出さなくなったり、あえて思い出してみても以前のように心が苦しくなるようなことがなくなっています。この心の在りようがずっと続くことが、本当に親を許したと言える状態なのではないでしょうか。

許さなくてもいいと思うことが、本当の許しにつながる。逆説的ですが、実際これで楽になったという人は多いです。

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