罪悪感、怒り、悲しみ…負の感情に翻弄されないために

毒親への怒りや、酷い言葉を思い出すたびに胸にくる悲しみ、親とうまくやれない罪悪感など、毒親からの被害に遭ってきた人は、そうでない人に比べて負の感情を味わわなければならない頻度が高いです。毒親のことをよく知らない人からは、早く忘れればいいと言われてしまいがちですが、とても無理な話です。良い親の元で育ち、毒親の辛さをいまいち理解できないという人は、ちょっと想像してみてください。

たとえば、会社で直属の上司から毎日毎日殴らたり、「お前はだめだ」「死ね」などと言われる生活が20年ほど続いたらどうですか?しかも、その上司は他の社員、特に自分より上の立場の人間にはとても良い人のフリをしていて、あなたが配置換えなどを希望しても「あんなに良い上司の下で働きたくないなんて甘えている」などと、逆にあなたが責められたりしたら?

こんな生活が続くと、夢の中でも上司に責められたり、休みの日も勝手に上司の言葉が頭に浮かんできてゆっくり休むことができなくなってしまいます。会社を辞めたとしても、次の会社にまたこの上司みたいな人がいたらどうしようと考えると、社会に出るのが不安になります。辞めて上司に会わなくなってからも、その影響は続くわけです。ましてや、会社なら辞めることもできますが、毒親の子どもを辞めることはできません。こんなふうに考えてもらえれば、少しは毒親育ちの辛さが分かってもらえるでしょうか。

なぜ例え話をしてまで毒親育ちの辛さを分かってもらいたいかといえば、周囲の無理解によってますます負の感情が増幅されてしまうからです。逆に理解してもらうことによって癒されていくものなので、特別何かをしてもらわなくてもかまいませんので、せめて何も言わず暖かく見守ってほしいと思います。

毒親に育てられた場合、先ほどの上司の例でもそうですが、会わなくなって直接何かされることはなくなってからも、悪い影響が続いてしまいます。これはトラウマ(心的外傷)になっていることが原因です。最近はトラウマという言葉が広く知られ、軽く使われるようになっていますが、本来は虐待など長期に渡る継続的な傷つきや、生命の危険がある規模の災害や犯罪被害に遭った人が心に負った傷のことを言います。

トラウマによって罪悪感や怒りなどの負の感情が心に湧いてくる日々というのはとてもしんどいものです。これらの負の感情に翻弄されないようにするためには、カウンセリングやセラピーを受けるのが一番です。でも、それができないときや、その手前の段階としておすすめなのが、負の感情を受け入れるということです。

怒りの感情を例にとって考えてみましょう。親への怒りを消そうとすると、蓋をされて出口をふさがれた感情が心に溜まっていきます。トラウマのせいで、また自分の意思に反して毒親の言葉が頭に浮かび、再び怒りが湧きます。こうしてどんどん増え続けた怒りは、あるとき爆発してしまいます。それは、最初に消そうとした怒りの、何倍もの大きさとなってしまっています。その怒りに振り回され自暴自棄になり、リストカットや周囲への八つ当たりなど、望ましくないことをしてしまってまた傷つくことにもなってしまいます。

こうならないためには、負の感情がわいても無理に消そうとせず、「私は親に怒っている。親が嫌いだ。だって、あんなこともこんなことも言われたんだから当たり前だ」というように、受け入れるのです。そうすれば、無用に負の感情を大きくしてしまうことなく、その感情に寄り添って、慰めることが可能になります。こうやって、負の感情をひとつひとつ慰めて供養していけば、翻弄されることも少なくなるでしょう。

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